結核の予防と治療

結核は移るのか?

結核は“感染症”なので、発病すると周囲の人に移したり移ったりする可能性があります。ただし、病状によっては移らない場合もあります。

 

結核をわずらっている人が、せきやくしゃみにより菌を体外に放出することを「排菌」と言い、他の人がその飛び散った菌を吸い込むことで「感染」します。結核菌を吸ったとしても、必ずしも感染するわけではなく、体に抵抗力があれば菌は追い出されます。しかし、菌がしぶとく体内に残ってしまうこともあり、その場合は、免疫によって結核菌を囲み“核”(結核)を作ります。ほとんどの場合、体内に結核菌が残されていても、免疫の力によって押さえ込まれており、発病することはありません。このように、体内に封印されたまま菌が活動しない状態が「感染」です。感染しただけなら、周りの人に感染させてしまう心配はありません。

 

また、感染した全ての人が発病するわけではありません。「発病」とは、結核菌に感染してから活動を始めて、増殖した菌が体の組織を侵していくことです。症状が進行すると、菌がせきや痰と一緒に空気中に放出するようになります。ただし、発病しても排菌が起こっていない時は、他の人に移す心配はありません。

 

結核菌に感染した人は、5~10%の確率で発病すると言われ、多くが感染してから2年以内に発病し、約60%の人が1年以内に発病しているようです。ただ、感染してから何年も何十年も経ってから発症する例もあるので、実状としてはいつ発病するかわかりません。また、何がきっかけで結核菌が増殖して発病するのか、まだはっきりと解明されていません。ただし、お年寄りや過労気味の人、病気で体力が落ちている人など、抵抗力が低下している人は注意しましょう。免疫力が低下している状態では、結核菌の活動が再び始まり、発病しやすくなると考えられています。